カップヌードルミュージアムに見る、デザインシンキングの力

先日レポートしたカップヌードルミュージアムの訪問記の中で何度か「デザインされている」という言葉を使いました。そこで今回はこのミュージアムが何をデザインしているのかを考えてみたいと思います。

このミュージアムはアートディレクターの佐藤可士和氏がプロデュースしていますが、氏がどのようにこのミュージアムをデザインしてまとめていったのか、体験者の立場で分析してみました。今回デザインを感じたのは次の4つです。この4つに沿って説明していきます。

  1. 空間のデザイン
  2. 人の流れのデザイン
  3. 従業員のデザイン
  4. 来館者の体験をデザイン

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1.空間のデザイン

館内は白い壁とフローリングの様な木目の床を基調に作られています。このシンプルな部屋の中にいるような感覚でまずは気分が落ち着きます。入った瞬間に目にする巨大な階段ですら開放感を感じ、各階に入ると居心地の良さを感じます。

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またアトラクションで使う什器類も理路整然と並べられていて、無機質な冷たい感じを与えつつ、逆に人が介在したアトラクションによる温かみを強調しています。この辺りのデザインは本当に上手いな、と感心した次第です。

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2.人の流れのデザイン

カップヌードルミュージアムは大変人気なのでアトラクションは事前に予約したり、整理券を取らないと入れないのですが、それでも人が沢山集まってきてしまいます。そんな際にもごちゃごちゃにならないよう、混雑時の人の流れがしっかりとデザインされています。このお陰で混んでる割に不快な感じを受けずに済みます。この感覚はディズニーランドで感じるものと同一な感じがします。

3.従業員のデザイン

ここでは従業員のプロフェッショナルさが目に付きました。皆さんハキハキと丁寧に笑顔で応対してくれますし、アトラクションでは困っているとすぐにサポートしてくれます。アトラクションで参加者が作業に集中している間はサポートする人、片付ける人、と役割分担がわかれて各自がその役割を全うしています。また混雑時のサポートや混み具合に応じて人の流れを操作したりするところなど、しっかりと社員教育が行き届いているのだろうと感じました。

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4.来館者の体験をデザイン

このミュージアムでは体験型ミュージアムを提唱しているだけあって、来た人に体験してもらうことを想定してデザインされています。手書きのパッケージや自分で作るカップラーメンなど、方法はミュージアム側が提供するけど、その後にどう感じるかは一人一人違って当然です。気持ちの良い空間、サービスで各自が自由に体験を満喫できるようになっていることがこのミュージアムの最大のデザインではないかと感じました。

これってデザインシンキング?

で、ここまで書いてきて思ったのが、このミュージアムのアプローチって最近よく聞くデザインシンキングってやつじゃないのかな、と思ったのです。

デザインシンキングとは僕の勝手な解釈だと「人間を中心に捉えた、デザイナーの考え方を取り入れた問題解決の思考方法」となります。カップヌードルミュージアムはモノを見せるという従来型の博物館の真逆の発想で、来た人が体験する場、つまり人を中心に捉えているミュージアムです。そして来た人がどうやって体験するかという問題解決にデザイナーの思考方法が使われているのではないかと思うんです。

デザイナーの佐藤オオキ氏は著書の中でデザイナーの仕事は大きく3つあって1つ目はものごとを整理すること、2つ目は人に伝えること、3つ目はブレークスルー(ひらめき)と述べていました。この3つの仕事をカップラーメンミュージアムに当てはめてみると、

1)空間を整理して来館者の居心地を良くし

2)従業員をしっかりと教育することで来館者にサービスを伝え

3)体験を通じて来館者にひらめきを与える

となり、なるほど上手くできているな、と思うわけです。デザインシンキングって凄いよね。

ということで正直な所、今でも「デザインシンキングって難しいな」と思っているし間違った解釈も多々あると思うんだけど、意外な所で身近に触れてみてその力を感じました。これって仕事の企画を通したり上司を説得する時にもこの思考方法って使えそうですよね。