ダイソン日本社長のインタビューに見る、技術を伝えるマーケティング

日経情報ストラテジー2015年3月号にダイソン株式会社の麻野社長のインタビューが掲載されていました。

ダイソン株式会社は掃除機と扇風機で有名な英国を本拠地とするダイソンの日本法人で、日本でのセールス、カスタマーサポートを受け持つ会社です。

そのような位置づけなので、ダイソン株式会社の使命は製品開発というよりも、利益とシェアを上げるとことです。麻野社長のインタビューからは技術力が優れた商品をいかに市場で売っていくか、ということに力を注いでいる様子がわかりました。技術はあるけど売れない、という会社は多いと思いますので、麻野社長のインタビューはとても参考になると思いますので、紹介したいと思います。

自社の強みをわかりやすく伝えること

ダイソンの強みは、消費者がこれまで気付かなかった問題を提示し、技術開発によって解決することで、消費者を驚かせることにあると思っています。
〜中略〜
いかにその商品が優れ、どのように機能するかについて、お客様である消費者に伝えることに尽きると思っています。

このように自社の強み、そして日本法人のミッションをまずしっかりと把握しているところから始まっています。そして、ではどうやってお客様に伝えるかということで、様々な手法を組み合わせて顧客にアプローチしていきます。

daysonmarketing

この中でも特に販売員に対しての実際の商品を使った説明には力を入れているようで、昨年は2000人もの販売員に対して説明を行ったそうです。また、販売上位の店舗にはダイソン株式会社の社員、もしくは直接契約した販売員を派遣し、製品の魅力を伝えると共に、現場で起きていることをフィードバックしています。これには社長も必ず目を通すのだとか。

(分厚い書類の束を掲げ)これは先週の日曜までに店頭で何が起こったかを、販売員に書いてもらったものです。手書きもあればパソコンに入力したものもあります。月曜に本社に送り、火曜の朝、私も最優先で目を通します。

トップが現場で起きていることを敏感に察知できるような仕組み作りがなされているわけです。

顧客へのアプローチ、現場の声を収集して対策を取る

このように顧客への多様な方法でアプローチし、現場の状況をトップまでが知ることが出来る体制を作った後は、適切なアクションを打つことで、問題点を解消していきます。

シェアが下がった週には、そのとき競合が何をしたのかをリポートで探り、すぐにアクションを取ります。例えば競合が値段を下げているという報告があれば、それが特定店舗だけなのか、全国的に下がっているものなのかを確認します。競合商品についても「お客様からここが評価されて引きが強い」とか、「この商品と比べてダイソンの商品はここが駄目と言われた」とか、売り場での会話が全て上がってくるのです。早く情報をつかむほど、早く次のアクションを取れるのです。

例えば競合商品と性能比較をした広告を作ったり、店頭では、競合商品の横に什器を置いて、当社製品との使い比べを促進したり、店内販促物の文言を変えたりします。セールストークもどんどん変えていきます。

このように状況の変化を見逃さずに、矢継ぎ早にアクションを取っていけるというのは、現場叩き上げの麻野社長ならではの部分かもしれません。それにしても徹底していて凄い。

そのほかにも店頭のディスプレイなどにも徹底的にこだわっています。

例えばダイソンというロゴをビックカメラのお店のここに付けるということまで、全て監修しています。世界中どこに行っても同じダイソンの世界観を伝えるために非常に気を使っています。

ここまで来るとAppleのマーケティング手法に近いものがありますね。

インタビューの最後には自社製品に自信が無いと、こんな発言出来ないよね、というものでしたが今は日本のメーカーでここまで自信を持って言い切れる社長がいるのでしょうか。

ダイソンは全ての人に受け入れられようとは思っていません。私どもを好きでないお客様もいらっしゃるけど、それは仕方ない。

このような割り切りがあるからこそ、自社の製品を気に入ってもらえるお客様にはとことこん満足してもらおうという思いがあるんでしょうね。

ということで、技術志向のダイソンですが、マーケティングは徹底した顧客志向に立っており、その顧客志向を実現するための社内体制がしっかりと出来ている所に強みがあるのだな、と改めて思いました。

さて、ダイソンは近々、ロボット掃除機市場で先行するルンバに対抗したdayson 360eyeというロボット掃除機を発売します。Webサイトでも既に発表されております。強力な競合を前にどのような戦いをするか見ものですね。