「直撃 本田圭佑」で読む、ブレない心と名言集

僕はスポーツ選手のインタビューとかドキュメンタリーが大好きです。スポーツ選手が勝利という目標に向かって鍛錬し続ける姿には感銘を受けるし、モチベーションを大いに高めてくれることが多いからです。厳しい状況でも諦めずに取り組み、逆境をチャンスに変えていくというシーンを目にすると、とても勇気づけられます。

サッカー日本代表を長らく牽引してきた本田圭佑選手の直撃インタビュー記事を集めた書籍、「直撃 本田圭佑」が先日発売されたので早速読んでみました。今回はこの本の感想などを書いてみます。

直撃本田圭佑

目次

本の概要

基本的にはスポーツ雑誌「Number」に掲載された記事を集めたもので、ライター木崎伸也さんが本田圭佑選手に直撃取材したインタビュー集です。なのでNumberを読んできた人にとっては既に読んだことのある記事ばかりです。

ではNumber読者はこの本を読む価値は無いか?というとそうではありません。特にプロローグとエピローグは本田選手のこれまであまり表に出てこなかったキャラクターが描かれているし、本田選手の自分に対する厳しさがしっかりと描かれており、ファンならずとも必見です。プロローグとエピローグのためだけに買っても良いと思います。

もう一つ、2010年南アフリカワールドカップでの大ブレークから、2016年初のミランでの復調までの6年間に渡って時系列でインタビューをまとめて読むことで、本田選手のぶれない気持ちの芯の強さと、変わりゆく気持ちの流れを追うことができます。断片的に読んできたNumberの記事とは違う重みを感じれるところにこの本の良さがあります。

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珠玉の名言集

この本の中で各章(全部で28章)のタイトルにも使われている名言の中から僕が好きな物を選んでみました。

1年後の成功を想像すると、日々の地味な作業に取り組むことができる。僕はその味をしめてしまったんですよ。

2010年12月@モスクワ

 

人間関係を大事にするなら、本音を言わないとあかん。むしろ本音を言わない人は、逆に人間関係を大事にしていないように思える。

2011年12月@バルセロナ

 

未来のことなんていうのは誰にもわからない中で、信念だけが支えになる。
2012年12月@モスクワ

 

自信の差がそのまんまイコール格になる。負けられないというプライドが、相手を打ち負かす力になる。

2013年6月@ブラジル

 

人間にとって、失敗って自慢出来るもので。何度も言うように失敗している時がチャンスなんですよ。

2013年11月@ブリュッセル

 

移籍までに時間はかかりましたが、必然だった。2年前の僕では重圧を乗り越えられたかわからない。

2014年1月@ミラノ

 

俺は多分、何かを守ろうとしている人間と根本的に思考が違う。おもしろいか、おもしろくないか。おもしろいやんとなったら、評価がズタボロになってもやる。

2016年1月@ミラノ

このように強気の発言やら、謙虚な発言やらが入り混じっていますが、どれも本田選手らしい発言ばかり。

実は僕自身、年明けから仕事の環境が大きく変わるので期待と不安が一杯なのですが、こんな時に超強気の本田語録は気合が入ります。自分の信念をしっかり持って、小さなことを気にしないでチャンスを楽しもうという気分になります。

本を読んだ感想

この本の直撃インタビューを読み進めると、あらためて本田選手の個性がよく見えてきます。

この本を通じて、本田選手の考え方を自分なりに整理してみると、

  • 高い理想をもつことが大切
  • 理想に向かって、地道にブレない心で努力を続けること
  • 状況に応じて変えるべきことは変える。安定を好まない。

といったところでしょうか。このような基本的な考えがあって、それを実際に行動していくことで逆境を切り開いていったのではないかと感じました。

もう一つ、本田選手の凄いところはいつも強気な点が挙げられます。ビッグマウスで大きなことを言うと実現出来なかった時に叩かれるわけですが、そんなことにビビることなく常に強気の発言。

なぜあれほどまでに自信満々で発言できるのでしょうか。僕が思うに恐らく本田選手は高い目標に向かってやるべきことをしっかりやれば出来ないことはない、と確信しているからこその自信なんだと思います。

ここでいう”やるべきことをしっかりやる”というのは常人が考えるレベルから遥かにハイレベルのことをやり切ることを指すので、とても簡単に真似できるものでは無いのですが。

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フットボーラーとしての本田選手

最後に本田選手のパーソナリティに着目した本書とは少し離れますが、フットボーラーとしての本田選手について1ファンとして書いてみます。

名古屋グランパス時代

2007年頃にJリーグの試合で初めて名古屋グランパスの本田選手を見ました。その時の印象としては、スピードがなく無難なプレーに終始するが、左脚一発のキック力は凄い!という程度のものでした。すでにオリンピック代表にも選ばれていたので名前は知っていましたが、左脚のキック以外はさして目につきませんでした。

VVVフェンロ時代

その後、オランダのVVVフェンロで大ブレークするわけですが、金髪になったルックス以上にプレースタイルが大きく変わり、よく走るし、点を取れる位置に走りこむようになったし、左脚のミドルシュートにも磨きがかかった印象でした。

この当時のインタビューは面白くて、「点を取れるように自分を洗脳した」という発言など、なんか変なやつやな〜という印象でした。

CSKAモスクワ時代

その後ワールドカップで大ブレークし、日本代表のエースになります。CSKAモスクワでは当初ボランチで起用されるものの、最終的にはトップ下の王様として君臨し、リーグ優勝に貢献します。

僕的にはCSKA時代の本田選手のプレースタイルが好きです。パスを散らして攻撃の最後の組み立てを行う役割を担いつつ、隙あらばゴール前に飛び込んで得点にも絡むというスタイル、格好良かったです。

ACミラン時代

その後、イタリアの名門ミランで栄光の10番を背負うものの、不振にあえぐチームの中でなかなか歯車が噛み合わず継続的に活躍することはありませんでした。

ミランでは2014年シーズン開幕当初にインザーギ監督のもと得点を量産した時期が一番輝いていたと思われますが、個人的にはミハイロビッチ政権下で一旦干された後、再度起用されたところに本田選手の真骨頂が現れていると感じています。

2015年ミハイロビッチ監督になってから、調子が上がらなかったチームを公然と批判してチームから干された本田選手。試合で起用されることなくなってしまいましたが、腐らず練習を続け、その後再びスタメンに呼ばれると献身的な守備でチームに貢献してスタメンに返り咲きます。

その当時の本田選手のプレースタイルは華麗なものではなく、泥臭く守備に奔走し、得点に絡むシーンも少なかったのですが、”チームの為、勝利のためならこんなプレーも出来るぜ”、と本田選手がピッチ上で主張しているようにも見えたものです。

そんな本田選手ですが、2016シーズンに入ってからは同じポジションのスソが大ブレイクしたためスタメンを奪われ厳しいシーズンを送っています。

日本代表でもスタメンから外されるなど苦しい時期ですが、こういった逆境のあとはいつも新しい姿を見せてきた本田選手なので、これからも本田選手の動向からは目が離せません。