前回記事に書いたとおり、12月の初旬に大楠山という標高241mの山に登った体験が僕の中で何か感じるものがあった。
登ったあと数日経っても「楽しかった、もっと山を体験したい!」という思いが消えず、わずか一週間後に今度は表丹沢最高峰の塔ノ岳という山にチャレンジすることに。
ちなみになぜ塔ノ岳にしたかというと、もう少し登り応えのある山に登りたい、しかし時期的に雪山になるような山はパス、初心者でも何とか登れそうでそこそこの高さの山、などの諸条件を勘案して塔ノ岳にすることにしたのだった。
もう一つ、丹沢の大山も候補に上がったのだけど10数年前に一度登っているので今回はパスして塔ノ岳にすることにしたのだ。
前回の大楠山が標高241m、塔ノ岳が1491mと全然高さが違うわけだが、登山初心者なので何がどう違うかは良く理解できておらず、登りがキツイのだろうぐらいにしか捉えていなかった。
目次
荷造り、準備とか
基本的には前回の大楠山の荷物をベースにいくつか見直しをした。標高が高いであろうことを想定し、防寒具の類は少し増やしてネックウォーマーやニットキャップ、手袋、厚手のフリースなども用意した。あと汗を書いた場合を想定して着替えも用意しておいた。
あとは前回結構汗をかいて背中が汗だくになったので、吸汗速乾性のスポーツウェアをインナーに取り込むとか、風対策でユニクロのブロックテックパーカーを用意するなど多少学習効果もあったのだ。
あとは長丁場になりそうなのと、登り下りも大楠山とは比較にならないぐらい足腰に負担が来そうだったので、CW-Xのタイツを履いていくことにした。
ちなみに、前回もそうだったんだけど足元はランニングシューズ!(笑)登山舐めてました。すみません。
塔ノ岳に登るまでは整備された山道なんてランニングシューズで良くね?なんて思ってた。トレランシューズだって靴底の厚み意外ほとんどランニングシューズと一緒じゃん、という理屈で。
まあ、それで翌週痛い目に遭うわけですが。
登山口まで
さて、塔ノ岳に登るにはいくつかのコースがあるのだけど僕は一番オーソドックスと呼ばれている大倉尾根コースというのでトライすることに決めた。大倉尾根コースから登るには、小田急線の渋沢という駅からバスに乗って、終点の大倉で降車する。
ちなみに大倉尾根コースの場合、登って下りてで約6時間かかるので、朝早く登らないと日が暮れてしまう。山の日暮れは早いっていいますし。
というわけで、朝早く起きて6時過ぎに家を出て渋沢駅に到着したのが8時前。バス停に行くと何やら登山者らしき格好の人がたくさんいるではないか。
しかも皆さん格好が超本格的!この時自分の格好のラフさに焦る。実はガチな山なんじゃないのかとこの時初めて認識したのだった。
心の動揺を他人に悟られないようにそっとバス停に並び8時12分のバスに乗って、大倉についたのが8時25分ごろ。ストレッチなどをしてからいざ登山開始。
登り始め
しばらくは緩やかな傾斜が続き、登山道も歩きやすく楽勝な感じだった。2.3Kmほど登ったあたりまで順調で、「なるほどこういう感じなのね」このまま緩やかに長い登山道なんだろうと勘違いをしていた。皆大げさな格好していたな、なんて思ったりもしていた。
しかし、一つ目の山小屋を超えたあたりから様子が一変する。
足元がゴツゴツとした岩だらけの急な登り坂が延々と続くのである。
同じ時間帯に登り始めた他の登山者もフーフー言いながら登っている。僕は100歩ほど登ったら一休みしないと進めないぐらいの状態。なかなか前に進められない。
岩場に足元が取られ、捻挫しそうに何度もなる。
このあと2つほど山小屋を越えたあたりで標識を見るとバス停から4.7キロも登ってきたことになる。
もうこの時点でクタクタ。登り始めたことを後悔したり、あとどれぐらい登らなければいけないのだろうか?と絶望的な気分にもなったりした。
ずっと登っていると身体が暑くて汗だくになっているので気がつかなかったが、標高があがるごとに気温が随分とさがってきていることにも気づき始めた。というのも霜柱が溶けずに凍ったままになっているのだ。
辛い、ツライという気持ちで脳内が支配され、思考回路が機能しなくなってきていた。にも関わらず、頂上を目指せ!頂上に行けば楽になる!となかば強制的に思い込ませて、前に上に進み続けていると少しづつ様子が変わってきた。
ずっと森の中を進んでいる感じだったのが、周囲の草木が低くなり、急に見晴らしがよくなってきたのだ。
ふと振り返ると、箱根、相模湾、そしてその向こうに伊豆大島、利島が見えるではないか!これは絶景。気持ちいい。登ってきたかいがある。
頂上へ!
ここで少し気持ちが持ち直してきて、気持ちを新たに再び山頂を目指すことに。
延々と続く登り坂もきっとゴールがある。そう信じて前を向いて登る。なんかフルマラソンを走っているときの気分に近いものを感じてきた。
そして最後の山小屋に到着。ここから見える富士山も素晴らしい。
だけどここまで来たら頂上まであと少し!(のはず)。休んでしまうと腰が上がらなくなりそうなので、水分補給だけしてすぐに登り始める。
ここからの登りも道が悪くキツイがゴールが近いことは標高や周りの景色から感じられるので、最初の頃よりは気持ちは高ぶっている。
一瞬開けたところに出たので思わず頂上かと思いきやまだまだ。富士山がすばらしいが頂上まで0.8Kmの標識を見つけあと少し、もう少し!と奮い立たせ再び登り始める。
そして最後のキツイ坂を登りきり、いざ塔ノ岳山頂へ!
登り始めから山頂までの所要時間は3時間10分。キツかったけど登ったときの感動は格別。これが登山の醍醐味なんだ、と実感した。やり切った感じは爽快そのもの。
途中の富士山も綺麗だったけど、山頂から見る富士山は別格だった。
山頂で一休みしようかと座り込んだ途端に襲ってきたのが寒さ。登っているときは暑くて全然気が付かなかったのだけど、実は山頂は風も強いし、ものすごく気温が低いことに気づいた。
下山
軽く昼食を取って、身体が冷える前に下山することした。下山は登ってきた道をひたすら下るのみ。
結構な急坂を登ってきたので、その分下りは膝に来る。ここでCW-Xを履いてきたことに感謝する。これが無かったら下りも早い時間帯に膝が痛くなって苦労しただろう。
足場の悪いところも何とかこなしながら、下っていく。登りに比べて心肺にかかる負荷は少ないものの、足腰にかかる負担が半端なく、徐々に足元が覚束なくなってきた。
それでも登りほど時間は掛からず2時間半ほどで大倉のバス停まで無事に戻ってくることが出来た。かなり汗をかいており、止まると身体が冷えそうになるので、バス停のトイレで用意した着替えに着替えた所、ようやく登り終えた安堵感で胸がいっぱいになった。
この時の感覚もマラソン大会を走り終わったときに味わったものと似たものだった。
この日も渋沢の駅でラーメンでも食べて帰ろうかと思ったけど、夜用事があったので寄り道せずいそいそと帰ったのだった。
まとめ
塔ノ岳は登山初心者にとってちょっと体力的にハードだったのかな、と感じた。なにせ登りが急で、ひたすら登るだけの単調なコースでもあったのがそう感じた理由だ。
一方で頂上の景色の素晴らしさは登りづらさを超えて味わい深いものがあると思う。
ということで、ある程度体力がある初心者なら塔ノ岳にチャレンジする価値がある。体力に自信がない場合は近場の大山から身体を慣らすのが良いと思う。
塔ノ岳に登って登山のきつさや大変さ、そして登頂したときの感動、下山した時の安堵感など山についての様々な体験が出来たのがとても良かったと思っている。