以前私の所属している研究会のブログでこんな記事を書きました。
士業にも価格破壊? 顧問料2,980円のビジネスモデルはどうなっているのか
これは税理士に何度でも相談出来るサービスを提供しているBizerというクラウドサービスについて書いたものですが、この後にも似たようなサービスを提供する会社が現れました。
株式会社BECが提供する「Gozal」というサービスです。株式会社BECはサイバーエージェント・ベンチャーズの投資プログラムの第一号の会社であるという事が話題になっていたようですが、ここではその部分には触れず、「Gozal」というサービス、そしてビジネスモデルについて書いていきます。
サービスリリース時のニュース記事を引用しますと、「Gozal」には3つの大きな特徴があるそうです。
1:起業・経営に必要な士業がそろう
Gozalでは、公認会計士、税理士、弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、社会保険労務士の7種の士業に限定してサービス提供者登録を認めています。会社のバックオフィスを支える士業がそろっており、それぞれが自信をもつサービスを出品しています。
2:インターネット上で依頼から成約、決済まで
従来の士業サービスは、メールを送って、一度面談をして、他の士業事務所と比較してと、成約・納品までに多くの工数がかかっていました。Gozalでは、インターネット上で、成約・決済まで行うことが可能であり、スピーディーで気軽な依頼が実現できます。3:士業の先生の評価が見える
士業に対する、ユーザーからのレビューが蓄積されるため、実績やユーザーの声を閲覧することができます。プロフィールやレビューをみて、ユーザーが自分で選んだ士業にお仕事を依頼することができます。
引用元 ValuePress!
ということで強引にまとめると、「Gozal」というWEBプラットフォーム上で顧客と士業のマッチングを行い、相談、依頼から支払いまで一連の流れをGozal上で行なうというものです。
詳しいビジネスモデルは現状ではわかりませんが、利用者も士業の方も登録は無料なので、利用者が士業の方に支払う報酬の一部をサービス利用料として株式会社BECが徴収することで売上を上げるビジネスモデルなのでは無いかと想定します。
先行するBizerと違う所を見てみましょう。まずは利用者の立場で見た違いです。
【利用者の立場で見た違い】
この様に月額利用料はかかるけど何度でも相談できるBizer、相談する士業によって金額はマチマチだけど、月額利用料はかからないので必要な時だけ使えるGozalといった違いがあります。
さて、次にサービスに登録する士業の方の視点で見てみましょう。
【士業の立場で見た違い】
このように違いとしては士業の業務を支援するシステムを用意しているかどうかが大きな違いです。Bizerは士業向けのシステムを用意していますが、Gozalはこれまでのプレスリリースやニュース記事を見る限り無さそうです(あったらゴメンナサイ)。
ただ、これには一長一短あって、システムが用意できない士業は参加しづらいというデメリットもあります。あえてシステムを用意していないGozalの方が取り扱い士業の幅が広いのはこういった理由もありそうです。
このように各社、クラウド上でサービスを提供するというコンセプトは一緒ですが、提供するサービスの内容はそれぞれ異なっており、それがサービスの特徴となって現れています。今後は似たようなコンセプトのサービスは増えていくのかもしれませんね。
独占業務の無い中小企業診断士は幅広い士業に対応していると言われているGozalでも採用されなかったので、次なるサービスの登場を待ちましょう。
士業は独占業務があるから安泰と言われたのは遥か昔の話で、最近では同一士業内の競争が激しくなっていますが、このようなクラウドサービスは同一士業内の競争をより激化させ、レッドオーシャン化していくのでしょう。混沌とした時代を生き抜くには他者とは違う専門性や得意分野を持って差別化していくしか無いのでしょうね。