今日はいたって真面目な診断士らしい記事です。企業においてどこで勝負するか、というのは非常に重要な経営判断になるのですが、ここを間違えてしまうといくら頑張っても成果が出ない、という状態になるだけでなく、生存そのものが危ぶまれるリスクもあるわけです。ということで、今日は事業ドメインについてお話します。
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目次
経営計画の4つの構成要素
企業は経営理念と経営ビジョンを実際に行動に落とし込むために経営計画を立てます。短期、中期、長期と計画する期間に違いはあるものの、構成する要素はいずれも一緒です。
それは、事業領域、資源展開、競争優位性、シナジーの4つです。もっと簡単な言葉で、どこで、何を、どのように、どんな効果と置き換えるとわかりやすいかもしれません。
- 事業領域(どこで)
- 資源展開(何を)
- 競争優位性(どのように)
- シナジー(どんな効果)
この4つの構成要素を検討した上で計画を立てていきます。この中で今回取り上げるのは事業領域(どこで)です。ここを十分に検討せずに、資源展開や競争優位性ばかりを論じてしまうと、文字通り場違いな所で頑張って空回りするだけとなってしまいますので、資源展開や競争優位性やシナジーと一緒に事業領域を考える必要があります。
事業領域設定時の注意すべきポイント
事業領域とはドメイン、または事業ドメインとも呼ばれ、将来に渡ってその企業の事業がいかにあるべきかを明示した企業の生存領域のことです。この事業領域の設定は狭すぎても広すぎても問題が生じます。
例えば、独特な形をしたふとんクリーナーで家電市場で大成功したレイコップについて考えてみると、極論すればレイコップが取り扱っているのは単なるふとんクリーナーに過ぎません。
例えば彼らがドメインを「布団掃除機の製造・販売」と設定していたらどうでしょうか?確かに布団掃除機の分野では圧倒的な存在ですが、それ以上の発展は見込めません。一方でドメインを「生活環境を改善する機器の製造・販売」としたらどうでしょうか?これだと広すぎて曖昧で生活環境を改善する機器といえば例えば歯ブラシとか洗濯機とかありとあらゆる家電製品が含まれてきて何がやりたい会社かよくわからなくなってしまいます。
ですので、「ハウスダスト対策家電の製造・販売」といった自分達の競争優位性や資源を活かせるドメインを設定すべきなのです。
ということで事業領域の設定は広すぎても狭すぎてもダメで、資源展開、競争優位性やシナジーを考慮した上で設定することが重要ですよ、という話でした。
注)レイコップの事業ドメインは僕が考えたもので、レイコップが公表しているものではありませんのでご注意下さい。
ところで例に挙げたレイコップですが、個人的には事業ドメインの設定の上手さもさることながら、製品デザインの良さと「干すよりキレイ」という鮮烈なキャッチコピーのインパクトが知名度向上に一役買ったのではないかと感心しています。