先日Googleが取り組んでいる自動運転カーの事故についてレポートしている記事を見かけました。
Googleの自動運転カー、公道での270万キロ走行で11件の“もらい事故”
この記事によると、
同社によると、自動運転カーでの累計走行距離(マニュアル運転モードも含む)は、立ち上げからの6年間で170万マイル(約270万キロ)。
これまでに発生した事故は、当局に報告する必要のない軽いものを含めて11件で、すべて“もらい事故”だったという。けが人もいなかった。
とのこと。更に、
この事故件数が平均より多いのかどうかを正確に判断することは難しいが、Googleはこの記事全体で、自動運転カーが人間が運転する一般の車より安全だと強調している。
ということでした。270万キロも走って11件しか事故を起こしていないってメッチャ安全じゃん!って思ったんだけど、この事故率についてきちんと考察する必要があると思い、人間の自動車事故率と比較してみました。
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目次
Google自動運転カーの事故率を数値化してみる
今回の記事で得られる情報は走行距離270万キロ、走行期間6年、車両台数6台、事故件数11件の4つ。事故の発生率を探るにあたって今回利用したのは走行距離と事故件数。1件事故を起こすまでに走った距離を算出し、その距離が長ければ長いほど安全性が高いという判断基準で調査することにしました。
Google自動運転カーはこの計算式によると、
270万キロ÷11件=245,455キロ/件
約24万5千キロに1回事故をするという計算になりました。
人間が運転した際の事故率を推定してみる
次に人間が運転した際の事故率を推定してみました。今回は資料が豊富にある日本国内における事故率を推定してみます。
推定に必要なのは、日本国内の全ての車が年間に走る距離の合計値と交通事故件数です。交通事故件数は様々な統計情報がありますので簡単に拾えますが、国内の全ての車の走行距離の合計値は統計データとしてありませんので手元にあるデータから推定するしかありません。
まず日本の車の台数を調べてみます。日本の車の保有台数を調べてみたところこんな所にありました。
これによると日本国内の自動車保有台数(2輪車を除く)は76,696,825台でした。約7700万台。結構多いですね。一人1台とまでは行っていませんが、それに近い数値になってきています。
次に1台辺りの平均走行距離を調べてみたところ、少し古いデータではありますが、こんな情報がありました。
乗用車市場の変化と保有に関する意識 一般財団法人日本自動車工業会
この中で月間平均走行距離数が記載されており、これによると450キロとのこと。つまり450キロx12ヶ月=5,400キロが1台あたりの年間平均走行距離と算出できます。
これらの数値より、日本国内の自動車が一年間走行する距離の総計は、
76,696,825台x5,400キロ=414,162,855,000キロとなります。
続いて交通事故件数はこちらのサイトに記載がありました。
平成26年中の交通事故発生状況 公益財団法人交通事故総合分析センター
昨年の交通事故件数は573,842件でした。
これらの数値化から日本の自動車事故率を計算してみると、
414,162,855,000キロ÷573,842件=721,737キロ/件
という数値になりました。72万キロ走行するごとに1回事故に遭うという計算です。
image by Google self-driving car project
Google自動運転カーの事故率は人間の3倍
これらの計算結果を比較すると、
- Google自動運転カーの事故率 245,455キロ/件
- 人間の事故率 721,737キロ/件
ということでGoogle自動運転カーは人間の運転と比べて約3倍の事故率があることがわかりました。このように数値で比較してみると、まだまだ改善の余地が多くあるということがわかりました。
自動運転カーは今後どうなるのか?
この結果を見て自動運転は危険だ、人間の運転のほうが優れいているとは判断は出来ないです。Google自動運転カーは開発が始まってからまだ6〜7年しか経っていないということも考慮する必要があるし、むしろその程度の検証期間でここまで事故率を少なく出来ているというのは凄いと思います。
今後はより検証、改善が進み人間が運転するのと同程度の事故率になるのも時間の問題と思われます。また人間の運転を上回る安全性を身につける日も来ると思います。
お年寄りや身体に障害がある人など、これまで車の運転ができなかった人、遠慮していた人にとってはとても魅力的な車だと思います。また家族でドライブする時に運転手のお父さんだけ一緒に景色を楽しめないなんてことも無くなります。
このように自動運転カーはいずれは安全でストレス無く移動できる最良の交通機関になる可能性を秘めています。まずは安全を最優先しつつ、開発を進めていって欲しいなと思います。
最後にGoogle自動運転カーの動画をどうぞ。試乗したみんなの驚きの表情やにこやかな表情が印象的です。