今年の初めにGoogleがMVNOサービスに参入することを発表し、4月末にProject Fiと称した新サービスの具体的な内容が明らかになりました。あのGoogleが手掛けるだけに通常のMVNOサービスとはどう違うのか?を調べてみました。
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目次
Project Fiとは?
Googleが手掛けるMVNO事業(仮想移動体通信事業者)です。詳しいサービス内容は後述しますが、今のところ招待制でサービス利用者を募っているということと、使える端末はNEXUS6のみ、というところでかなり実験的な色合いの強いプロジェクトとなっています。ですのでProject Fiで色々と試行錯誤をした上で、事業となりそうと判断したらより一般的なサービスになるのではないかと噂されています。
通常のMVNOと違う点は?
通信面でのポイント
・2つのキャリアを使える。
アメリカのSprint、T-mobileの2つのキャリアを使えます。通信状況や混雑状況を自動的に判断して双方のキャリアを使えます。2つのキャリアを使えることでカバーされる範囲がとても広く、安定して使えることが大きな特徴です。
・Wi-Fiの自動接続
アメリカ国内のWifiスポットを自由に使えます。通信はGoogleのゲートウェイを通すのでセキュリティ面も安心です。また、Wi-Fi Calingと呼ばれるWi-Fi網を使った通話の機能も利用できるようです。
課金面でのポイント
・使用量に応じて月額料金を設定できる
基本利用料が20ドル、あとは1G、10ドルで必要分を追加するだけ。例えば月3G通信をする人は基本の20ドル+30ドルの50ドルが月額利用料金となります。日本の感覚だとちょっと高い気もしますが、2つのキャリアを使えて安定して通信できることを考えると安いのかも。
・余った通信量は翌月に割引される
さらに余った通信量は翌月の利用料から割り引かれます。例えば前月1G未使用の通信量が余った場合は、1G分の利用料の10ドルが翌月の利用料から割り引かれます。50ドル−10ドルの40ドルとなります。通信量を翌月に繰り越せるサービスは日本でもありますが、その利用料を割り引かれるというのはこれまで無かったのではないかと思います。
既存事業者への影響は?
このようなMVNO業者が増えてくると通信キャリアにとってはますます通信網を貸すだけの土管化が進んでしまう恐れがあります。既存の高品質な通信網や各地にある店舗網を活かした付加価値あるサービスを提供する必要性に迫られるでしょう。
端末メーカーにとっての影響としては、複数キャリアを扱えるSIM、Wi-Fi Calingへ対応した端末の開発が挙げられます。Project Fiの利用がNEXUS6に限定されているのも恐らくハードウェア面での対応状況に課題があると考えられます。
まとめ
まだまだテスト段階ですが、例えば日本でProject FiのSIMを挿しておけば、ドコモの回線もauの回線も使えるとなったらかなり盤石な通信環境になるのではと思います。とはいえ、Project FiにおいてはSprint、T-mobileとの調整が一番難しかったとの話もありますので、日本においても相当なハードルになるのではないかと思います。
近年のMVNOの隆盛をさらに推し進めるようなこのProject Fiは、どのような成果をもたらすのでしょうか。その動向を今後も追っていきたいと思います。
PS.
YouTubeでProject Fiの概要が説明されています。英語ですが映像を見ているだけでGoogleがやろうとしていることがわかると思います。