Chromebookを購入するまで、Googleのサービスで使っていたのはGMailと検索、翻訳ぐらい。もちろんGoogleDriveやChromeも使っていたものの、WindowsRTの制約やら何やらで積極的に使っていなかったんですね。スマートフォンもiPhoneだったので、Androidはあまり触っていないし。てな訳で世間一般的な利用者の中ではGoogle依存度が低い方だったと思います。
Chromebookを購入してから、オフィススイートをGoogleドキュメントに移行を始めたり、Chromeをメインで使ったり、色々とGoogle依存度を高めて行くにつれて、僕自身がいかにGoogleについて無知なのかを痛感しました。
そこで、Googleの歴史や会社そのものを包括的に書いてある本は無いかな、と探して手にとったのが「グーグル〜ネット覇者の真実」という本です。
小さい文字がびっしり書いてあり、630ページもある分厚い本なので、一瞬躊躇しましたが読み始めると面白くて、2〜3日ぐらいで読み切ってしまいました。
章立てと概要は次のような感じ
- 第一章 グーグルが定義する世界
グーグル創業と精度の高い検索を実現する為の苦闘の状況が描かれています。 - 第2章 グーグル経済学
グーグルの収益源、ネット広告の発案から事業化の様子が描かれています。 - 第3章 邪悪になるな
グーグルの裏の社是とも言われている「邪悪になるな」を説明しつつ、企業文化について描かれています。 - 第4章 グーグルのクラウドビジネス
個人的には特に面白かったのが、この章。クラウドビジネスを実現する為のデータセンターの話や、ChromeやGoogleドキュメントなどのクラウドプロダクトに手を染めていく様子が描かれています。 - 第5章 未知の世界への挑戦
この章ではAndroidを使ったスマートフォン市場への挑戦が描かれています。 - 第6章 谷歌
Googleが中国でビジネスを行なう上でぶつかった様々な困難について描かれています。これを読むと中国でのビジネスって可能性も高いけどリスクも高いな、と思わざるを得ません。 - 第7章 グーグルの政治学
グーグルと政治の関連や、様々な訴訟問題に巻き込まれていく姿が描かれています。 - エピローグ 追われる立場から追う立場へ
このエピローグも興味深く、ソーシャルメディアでFacebookに遅れを取ってしまった失敗など、Googleが追われる立場になってきていることが描かれています。
こんな感じで、章ごとの簡単な説明をしているだけで、もう一度じっくり読もうかな、なんて気になってしまいました。感想なんかを書こうかと思ったのですが、多岐に渡る内容が書かれた本の感想を詳細に述べることは難しいので思ったことを箇条書きに幾つか書いておきます。
- ペイジとブリンという独創的な思想の2人の創業者と経験豊富で度量も大きなシュミットという3人体制が、奇跡的に上手く機能したことが初期Googleが順調に立ち上がった第一要因であると思えた。
- ペイジとブリンがモンテッソーリ教育という日本で馴染の薄い教育を受けて育ったことがGoogleの独創的なサービスを生み出した遠因となっている。
- Google社内の重要なキーマン達をしっかりと取材をしていることで、Google社内の雰囲気がよくわかった。
- 新サービスを立ち上げるときの社内の雰囲気が伝わってきた。
- 少人数で始めたベンチャーが、規模が大きくなるにつれ、ぶつかる様々な障壁をGoogleなりのやり方で乗り越えており、考え方としては大企業のマネジメントにも使えるのではと思った。
- あらゆるものを検索する、というGoogleの思想上、どうしてもプライバシーの問題が起きてしまい、会社規模が大きくなるに連れ訴訟に巻き込まれることが多くなる。
とっても面白かったけど、何かメッセージがあるわけでもなく、ストーリー仕立てになっているわけでも無いので、興味のない人にとっては、全く面白味の無い本だと思います。
そこで、最後にこの本はこんな人にお薦めというのをまとめておきます。
- Googleの歴史に興味のある人
- Google社内のマネジメント手法に興味のある人
- Google出身者に心酔している人
- Googleの各種サービスの熱烈な愛好家
- Googleに興味は無いけど、クラウドビジネスの歴史に興味のある人
などなど。どれも当てはまらない人にとっては、無理して読む必要はないかと思いますよ。