昨年末にAppleが横浜のみなとみらい地区にアジア最大級の研究開発拠点「テクニカルデベロップメントセンター」の開設を発表しました。日本ではAppleの研究開発拠点の設置は初めてのこと。さらに3月13日には、同じく横浜ですが少し違う場所でパナソニックの工場跡地を買収したとの報道もありました。
アップル、横浜に開発拠点 日本の技術取り込み 〜技術者引き抜き懸念も
着々と日本進出への足場を固めてきているAppleですが、なぜ日本である必要があるのでしょうか?日本は生産技術が凄いから?iPhoneが売れまくっている特殊な市場だから?などなど様々な憶測が流れていますが、本当の所は何も発表されていないので知ることは出来ません。
ところが最近、Appleが大量に求人を行っていることが発覚しました。採用大手のリクナビのサイト上にはAppleの求人情報が沢山あります。もちろんこれまでも募集は行っていましたが、主にAppleStoreや日本法人の運営などを行う小売業的な側面が強い求人でしたが、今回はこれまでと全く異なる職種を募集しています。そこで今回は求人情報からAppleが日本でやろうとしていることを考えていきたいと思います。
現在(2015/3/16時点)募集が行われているのは合計6職種。
- IC評価エンジニア
- Mixed-Signal IC テストエンジニア
- IC検証エンジニア
- Mixed-Signal IC プロダクトエンジニア
- アナログ IC デザイナー
- シニアCADエンジニア(フロントエンド)
これまでと打って変わってやけに具体的にエンジニアを募集しています。興味深いのが仕事の内容と、対象となる方、という項目。
仕事の内容の中には、ICの設計や製品化、そして製品の検証やテスト、そして量産化の準備などICの設計から量産化までの一連の流れを行うエンジニアを募集しています。
また対象となる方に求める経験やスキルとして7年以上の業務経験や修士、学士など経験と知識が豊富なエンジニアの採用を目論んでいます。
Appleがこのような人材を日本の研究開発施設に集めようとしているのは、Appleの今後の製品戦略上、高機能なICが欠かせないこと、日本のIC関連の技術が高いこと、そして対アジア戦略においても重要な拠点と見なしているからだと考えられます。
Appleという世界的な企業が日本に研究開発拠点を持つことは誇らしい部分もありますが、これまでAppleが日本企業を散々叩き、搾取してきた経緯を少しばかり知っているととても手放しでは喜べないです。
日本企業にとっては有能な人材が流出してしまう恐れがありますし、日本の優秀なエンジニアが設計した製品技術をアジアに持って行き低コストで大量生産するというこれまでの流れが加速する恐れもあり、日本の製造業にもインパクトを与える所があります。
ですので、Appleの日本進出については慎重に動向を見守っていく必要がありそうです。
この本はAppleのお洒落なイメージからは全く想像できない、ビジネスにおける非情なAppleのやり方が書かれています。これを読むと「ちょっとAppleやり過ぎじゃね?」と思わざるを得ません。