認知資源の無駄遣いを防ぐことが、最高の仕事ハック術?

認知資源という言葉、ご存知でしょうか?僕は聞いたことも無かったのですが、ちょっと前に読んだ伝説のプログラマー、中島聡さんの著書「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である」の中に認知資源について記載があって初めて知りました。

「出勤前の服選び」で疲れてどうする

効率化といえば、「世界の偉人はいつも同じ服を着ている」ということが一部で知られています。
たとえばフェイスブックのマーク・ザッカーバーグはいつもグレーのTシャツにジーンズをはいています。アップルのスティーブジョブズは黒のタートルネックにジーンズをはいていました。

中略

彼らはなぜそういうことをしているのでしょうか。それは彼らが日常のささいな決断の数をへらそうとしているからだそうです。日々たくさんの人と会い、様々な意思決定を行う彼らは、普段から大きな決断を迫られています。そのため会社の経営や政治に関わる重大な決断をするときに脳が疲れないよう、無駄な決断をしないようにしているのだそうです。無駄な決断とはここでは服選びのことを指します。

心理学では、決断や意思決定をする際に減少する気力のようなものを「認知資源」と呼んでいます。この言葉を使うと、つまり世界の偉人は、認知資源を経営や政治のために温存しているということになります。

出典:中島聡「なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である」

目次

認知資源とは

認知資源とは成分のようなものではなく概念的なものなので、科学的に証明されたものではありません。心理学的には認知資源は朝起きてから夜寝るまでの間にどんどん消費していき、寝ると資源が回復するというもののようです。

なので、一日に使える認知資源の量は人によって違いはあるにせよ、一定量で限りあるものと言えます。

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認知資源はどういうときに消費するのか?

認知資源を消費しやすい作業には次のようなものがあります。

  • 判断、決断
  • 細かい作業
  • 難易度が高い作業
  • 複数の作業を並行して行う
  • 慣れていない作業

などなど。脳が疲れそうなものばかりです。

僕も本業の仕事が忙しいくて、診断士活動も色々と立て込んで、家族の行事も重なったりと、それぞれが全く関係していないことが並行して動いている時に、脳が疲れて判断が鈍るときがあります。

それも認知資源の考え方によると、色んなことをやりすぎて認知資源が枯渇してしまっている状態なんだと思います。

認知資源は限りがあり、徐々に減っていくものです。しかし、的確に判断して業務をこなしていくには認知資源が十分にある必要があります。

ということは、判断や決断を適切に行い、業務を進めていくのに必要な認知資源を十分に確保するために、余計なことで認知資源を使わないことが必要となってきます。

先の中島さんの本の中にあったような、偉人たちが毎日決まった服を着るのは、些細な判断をしないで認知資源を無駄に使わないようにしているから、だったのでした。

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認知資源を無駄遣いしないためには

では認知資源を無駄遣いしないためにはどうすればいいのでしょうか?
先に挙げたような認知資源を消費しやすい作業を回避すればいいと言えます。

例えば、

  • 決断や判断:テンプレート化して都度判断しないでも済むようにする。
  • 細かい作業、難易度が高い作業:他の人にやってもらう。
  • 慣れていない作業:無意識で出来るよう、ルーティン化する
  • 複数の作業を並行して進める:作業を分割してシングルタスクを何度もこなす様にする。

などなど。

認知資源の無駄遣いを防ぐことが、最高の仕事ハック術?

こうやってみていくと、認知資源の無駄遣いをなくすための対策が最高の仕事ハック術なのではないかと思えてきました。

つまり

  1. 認知資源の無駄使いをなくすために仕事のやり方を工夫することで仕事が効率化できるようになる
  2. 重要な決断や判断を的確にできるようになるので仕事の質も高めることができる

ということにつながっていきます。1粒で2度おいしい的な感じですね。

認知資源という言葉自体はあまり知られていないようですが、その考え方を聞くと皆が一度は体験したことがあるような、納得できるものではないかと思います。

最近のマインドフルネスブームにもあるように脳の疲れを取るということは多忙な現代人の悩みの種です。認知資源という考えを理解し、脳に疲れを溜めないような工夫をしていきたいところです。