先日Microsoft(マイクロソフト)がスマートフォン事業部の縮小を発表しました。

2013年の時点で世の中のスマートフォン、タブレットシフトに完全に乗り遅れていたマイクロソフトは、スマートフォン事業をてこ入れするためにNOKIAを買収したのは記憶にあたらしいところですが、それからわずか3年で事業縮小に追い込まれました。Windows Phone(Windows 10 mobile)はこのまま消えてしまうのでしょうか?

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マイクロソフトのスマートフォン事業をめぐるこれまでの動き

Windows Phone(Windows 10 mobile)について話をする前に、マイクロソフトのスマートフォン事業の変遷について簡単におさらいしてみましょう。

マイクロソフトのスマートフォンをめぐる動きは2013年9月のNOKIAのスマートフォン事業買収発表から始まります。スマートフォン、タブレット市場ではAppleとGoogleの2大勢力に対し、全く歯が立たない状況に焦りを感じていたマイクロソフトは携帯電話会社であるフィンランドのNOKIAを買収することを発表しました。Windows Phoneの製造、販売に関するノウハウを持っているNOKIAの買収は、Windows Phoneの普及に弾みが付くのではないかと期待されていました。

2014年4月にNOKIAの事業買収が完了しましたが、買収金額は96億ドルとも言われています。さらには、人員の整理も行ったため、多額の退職一時金の支払いなども負担しているようです。この買収によりスマートフォン事業部として約2万5千人の社員を抱えることになり、この負担がマイクロソフトにはのちのちズッシリと響いたようです。

その後、2015年6月にスマートフォン事業を75億円の減損処理を行うと共に、7300人の人員削減を行ったことを発表しており、事業が予定通り進んでいないことを知らしめてしまっていました。

そして、さらに1年後の2016年5月、ついにスマートフォン事業縮小し1,850人の人員削減を行うと発表した。

もともとNOKIAのスマートフォン事業の買収は全CEOのスティーブ・バルマー氏が決定した案件ということもあってか、CEOがサティア・ナデラ氏に代わってからはスマートフォン事業にはあまりこだわっていないようで、不採算事業は縮小してコア事業に注力しようという意向が垣間見れます。

Windows Phoneが普及しなかった理由

マイクロソフトのスマートフォン事業部が縮小されたのは、Windows Phone(Windows 10 mobile)が思ったように普及していないことが挙げられます。Windows Phone(Windows 10 mobile)が普及しなかった(と断定するにはちょっと早いかもしれないが)理由はいくつか考えられます。

Windows Storeアプリが貧弱

一にも二にもアプリが少な過ぎます。Microsoftの純正アプリはともかく、全体的にアプリの種類が少ないうえに、iOSやAndroidと同じアプリがあってもGUIが異なっていたり、日本語に対応していなかったり、とても使いやすいとは言えませんでした。

マイクロソフトもこの問題には取り組んでいていて、iOSやAndroidからのアプリの移植性を高めるために、Windows Bridgeというものを用意していますが、普及は進んでいないようです。

アプリ開発する側にも、日々変化する最新テクノロジーの追従や、顧客ニーズへの対応でただでさえ開発リソースが厳しい状況では、シェアの大きいiOS、Android対応を優先し、シェアが少なく今後どうなるかもわからないWindows OS向けへの開発が後回しになってしまうのも仕方がないと言えます。

Continuumが期待外れ

Continuumはスマートフォンにモニタとキーボードを繋げればPCのように使える機能で、、スマートフォンとPCを完全にシームレスに扱える画期的な機能と期待をした人が多かったと思います。しかし、スマートフォン端末に要求されるスペックが高く、ハイエンド端末でないと対応できないことや、ディスプレイに接続されるためのDisplay Dockが少ないこと、動作するアプリがユニバーサルアプリに限られるなど制約が多く普及には至ってはいません。

もっともマイクロソフトもこのContinumは企業ユーザーからの期待が高いことを認知しており、先日のスマートフォン事業の縮小の際に、Continuumに開発リソースを集中して取り組むといった趣旨の発表もありましたので、ここは今後改善されるかもしれません。

製品ラインナップの少なさ

日本国内ではWindows10mobileの端末は色々と出ていますが、Lumiaシリーズはなぜか投入さていませんし、初期に投入されたモデルはスペックが低すぎたし、遅れて投入されたNuAnsNEOやVAIO Phone Bizはハイスペックでそれなりに魅力的な端末だったが、時すでに遅しの感があり、
それ以降の参入も聞きません。

アプリにしても、端末にしても人気がいない、参入企業が減るという悪循環に陥っているように見えます。

それでもマイクロソフトがスマートフォン事業をあきらめない理由

このようにマイクロソフトのスマートフォン事業は、暗礁に乗りあがっている状態で、このまま人員整理を繰り返し、どこかに事業ごと売却してしまう可能性もあるのかと思われますが、それでもまだマイクロソフトは完全にスマートフォン事業をあきらめたわけではないようです。

事業縮小の発表の中にも差別化を図れる分野に注力するとか、ユニバーサルアプリの開発に取り組むとか、Continumの開発に注力するなどの説明があり、Windows Phoneならではの強みを強化しようと考えています。

当初の予定通りにビジネスが進んでいないことは間違いないですが、ここからは僕の勝手な推測ですが、このままスマートフォンをあきらめることは無いと考えられます。その理由は大きく2つあります。

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クラウドとの接点を他社に依存しないためにもスマートフォンは必要

マイクロソフトはPCにおいては世界の約95%のシェアを占めているといわれていますが、タブレット、スマートフォンのスマートデバイスのではわずかに15%程度のシェアしかもっておらず、完全に出遅れています。

クラウドとの入り口としてスマートフォンはとても重要な接点なので、ここを諦めるということは、マイクロソフトが推し進めているクラウド戦略が片手落ちになってしまいます。スマートフォンから撤退することになれば、クラウドとの接点の一部を他社にゆだねてしまうということになってしまうからです。

かつてGoogleが検索の入り口をマイクロソフトのInternetExplorerに牛耳されていることを危惧して自社開発のブラウザやOSの開発に取り組んだように、自社のコアビジネスであるクラウドとの接点を他社に依存するというのは非常にリスクが高いと考えられます。このことからもマイクロソフトはスマートフォン事業から撤退することは無いと考えられます。

企業ユーザーの取り込みが出来れば逆転の可能性がある

また企業向けのシステムでは圧倒的な強みを持っているマイクロソフトなので、PCとスマートフォンがシームレスに繋がるようになれば、もっとスマートフォン利用者を増やすことが出来ると考えているはずです。

企業ユーザーがPCとセットでWindowsを搭載したスマートフォンを利用するようになれば、一気にシェアを奪うことが考えられます。スマートフォンから企業内のシステムに安全にアクセスし、利用できるようになれば企業にとってもマイクロソフトにとってもWin-Winの関係になります。マイクロソフトがスマートフォンをあきらめないのは企業ユーザーの存在もあると考えられます。

まとめ

今後も厳しい戦いが続くと予想されますが、マイクロソフトは先に述べた通り、そう簡単にスマートフォンをあきらめなることは無いと思います。かつてのWindowsのように市場を圧倒するほど強力な製品を出せるとは現時点では思えませんが、iOSやAndroidからのアプリの移植性を高め、企業ユーザーの取り込みが出来れば、気づいたら結構シェアを取っていた、なんて日が来るかもしれ前ん。

今後もマイクロソフトのスマートフォン戦略、そしてWindows Phone(Windows 10 mobile)の動向に注目していきましょう。

PS.Windows 10 mobileが発売当初に話題になった端末はもともとが安かったこともありますが、今では投げ売り状態です。Windows 10 mobileをお試ししてみたい人はどうぞ。