先日、ITメディア主催の「テクノロジーのチカラが変える、あなたの働き方~成長戦略としてのワークスタイル変革」というセミナーに参加してきました。目的は新しい働き方として注目を集めているSanSanの講演と、フジテックCIOの友岡氏の特別講演を聞くこと。
SanSanは最近TVCMなどでも注目を集めている名刺を企業の資産として活用するサービスを提供している会社です。単なる名刺管理ではなく顧客管理、CRM的な使い方ができるのがウリですが、本業とは別にその従業員の働き方も話題になっています。
そこで今回はこの講演で聞いて面白かったお話をまとめてみました。特に資料の配布などなく、メモった情報ベースなので間違いがあるかもしれませんがご了承下さい。
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目次
SanSanってどんな会社
企業向けにSanSan、個人向けにeightという名刺アプリを提供している会社といえばご存知の方も多いのではないでしょうか。このCMを目にした方も多いのでは。
名刺を企業の大事な資産にして顧客管理や営業活動に活かそうというものです。僕の支援先の企業でも導入している会社が何社かありました。まだ設立10年の若い会社です。
働き方改革は課題と共に
革新的な働き方が有名なSanSanですが、いずれも課題の解決を図るために編み出したものばかり。これまで取り組んだ様々な施策について順を追ってご紹介します。
創業3年目
課題
社員数が50人を超えたあたりからコミュニケーションの問題が発生
対策
社内SNSのYammerを導入。社内メールは禁止
効果
- 情報が時系列に見えるようになった
- 検索が容易になった
- 意思決定のスピードが速くなった。
創業4年目
課題
開発者が増え、開発の生産性が低下
対策
徳島県の限界集落にサテライトオフィスを設立
効果
- 転地効果で生産性が向上
- 優秀な人材の採用も出来るようになった
- サテライトオフィスに行くと元気になって帰ってくる
創業6年目
課題
足を使った営業に限界を感じる
対策
対面営業をやめ、すべてWeb、電話営業に変更
効果
- 一日の訪問件数が増え、受注件数も倍増した
- 接客数が増えたので、営業マンの経験値があがりスキル向上も図れた
- ブース内なので先輩がチェックしやすく教育がしやすくなった。
創業9年目
課題
社員数が倍増し、ちょっとしたシステム障害が生産に大きな影響を与えるようになった
対策
社内のサーバを廃止し、全ての機能をクラウド化
効果
- 運用工数削減
- システムトラブル削減
- リモートワークがやりやすい環境に
社内メール禁止、外回り営業の廃止、社内サーバの廃止など思い切った改革を実行できるのもITベンチャーだからという訳ではなく、課題解決に危機感をもって取り組んだからだと思います。危機感が無いとなかなかここまで目一杯舵を切ることって出来ないですよね。
SanSanを代表する特徴的な働き方
ここまで述べた様々な施策の中でも特に有名なのがサテライトオフィスとオンライン営業の2つ。この2つについてもう少し詳しくご紹介します。
サテライトオフィス
徳島県神山町の古民家を改修してオフィスにしています。SanSanの社長さんと神山町の人との交流から始まったプロジェクトでもあるそうですが、社内の生産性向上という課題解決の手段の一つとして活用しています。
このオフィスの勤務形態
- 常勤2名(現地採用)
- 長期滞在(1ヶ月程度)
- 合宿(2泊3日)
- 新人研修
注)数字の記憶は曖昧なので、たぶんこんなところだったと思います。
サテライトオフィスで得た様々な効果
- 創造性、生産性の向上
- 社員が健康になって帰ってくる
- リモートワークのリテラシ向上
- 新しい働き方の実験と創造
- 革新的な企業文化の醸成
オンライン営業
導入の背景
売上に伸び悩む中、KPIである商談件数を増やすために編み出した対策。
対面でないデメリットは特になかったとのこと。
主な効果
- 商談件数は従来の3件/日から7件/日に倍増し、売上も倍増した。
- その他に商圏拡大や交通費の削減などの効果も。
- 場数が踏めるようにあり、営業の育成、成長速度が速まった。
働き方改革に対する考え方
SanSanの働き方改革に対する考え方の代表的なものを記します。
- ワークスタイル変革は経営レベルでコミットするテーマ
- 目的ではなく、あくまで手段であり、成長を加速するための道具
- セキュリティは会社の存続に関わることなので最重要課題として捉える
SanSanワークスタイル変革のコツ
これまで様々な施策に取り組んできたなかで感じたワークスタイル変革のコツというのは次のようなものだそうです。
- 目的を明確にする
- 自社にあったことをする
- ツールも制度も段階的に導入する
- セキュリティと利便性を両立させ、セキュリティが会社の成長阻害要因にならないようにする。
最後に
文書ではうまく表現できませんでしたが、SanSanの久永氏の講演がとても上手で、聞き入ってしまう刺激的な内容でした。企業の成長ステージとITの進化がうまくマッチした好事例とも言えます。
旧態然とした組織ではこのようなスタイルの働き方の導入はハードルが高いですが、目的をしっかりともってやれば出来なくはない、とも勇気づけられました。
さて、この日は最後にフジテックの友岡氏の特別講演がありました。昨年のGoogle Atomsphereでもとっても面白いお話を聞かせてくれたので、今回も期待していたのですが、相変わらず斬新な考えの方で、いわゆる世の情シスの常識をことごとく覆す発言に大いに刺激を受けました。
皆がこんな発想でITを考えていたらもっと世の情シスは楽しくなるんじゃないだろうかと勇気づけられました。
今回は文字ばかりだったので、最後にWEB限定でSanSanの面白CMをまとめたものがYouTubeに公開されていますので良かったらご覧下さい。続編が早く見たい!