ワークスタイル変革って何からの変革なの?

東日本大震災以降、ワークスタイル変革というキーワードをあちこちで聞くようになりました。実践して効果を上げている企業のセミナーや企業見学なども盛んに行われています。

ワークスタイル変革EXPOなんてのも開催されるなど、ITや経営に携わる人は何らかの形で情報集をしているのではないでしょうか。

そこで今回はワークスタイル変革の背景や、僕なりの考えを書いてみたいと思います。

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目次

ワークスタイル変革の背景

企業は持続的な成長をしなければなりませんが、一方で事業継続といった社会からの要請、介護や育児といった家庭内の事情を抱える従業員からの要請、などそれぞれの要望をバランスをとって実現する必要があります。

ワークスタイル変革が声高に言われるようになった大きな転機の一つが、東日本大震災にあります。あの当時、交通機関がとまったり、計画停電があったりと全社員が出勤できる状態でありませんでした。

そのため会社の機能が一部停止したり、活動規模を縮小せざるを得ない状況に陥りました。そこで多くの企業はBCP(事業継続計画)の観点からワークスタイル変革の必要性に迫られたのでした。

もう一つが日本の少子化の問題です。

企業の経営資源には人、物、金、情報などと言われていますが、この経営資源4要素のうち、人については大きな問題にさらされています。少子高齢化に伴い若手社員が減少しているにも関わらず、社員全体は高齢化が進み、両親の介護などにも時間が取られるなど、人を取り巻く環境が大きく変わってきています。

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このような状況を背景に、企業と社会と従業員の関係をバランスよく実現するための施策としてワークスタイル変革が注目されるようになっています。

ワークスタイル変革とは何か?

ではワークスタイル変革とはどういうものでしょうか。私はワークスタイル変革とは画一的ではない柔軟な働き方のことと考えています。

画一的でない、という部分をもう少し具体的に示すと、組織、時間、場所にとらわれない働き方です。既存の仕事のやり方、枠組みを超えることで柔軟な働き方をできるようにするものと考えています。

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ワークスタイル変革の効果は多様な働き方を受け入れることで、業務の効率化や、社員の活躍の幅が広がるというものだけでなく、優秀な人材の採用にもつながることが期待されています。

このようにワークスタイル変革は単なるテレワークにとどまらない、新しい働き方といえます。

ワークスタイル変革の進め方

一番最初に取り組まなくてはならないと考えるのが、ゴールの明確化です。

ワークスタイル変革をして何を実現したいのかを明確にすることです。これは経営企画部門が考えるのではなく、経営層からのトップダウンで進めることが必要です。なぜなら働き方はその企業の在り方を決める重要な経営戦略であるからです。

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あるべき働き方が決まったら、今度は具体的な施策に落とし込んでいきます。対象範囲、人事制度、組織体制、技術支援体制などなど。

昨今のワークスタイル変革ブームはモバイル、クラウドなどのITを活用した技術支援の進化によるところが大きいのでその部分ばかり注目されがちですが、その他の人事制度や組織体制といったところも重要な検討項目になってきています。

ワークスタイル変革とは何からの変革なのか

ここまでワークスタイル変革の概要について説明してきましたが、ワークスタイル変革とはいうものの、「何からの変革なのか」、というところが十分に議論されていないように感じます。

従来の働き方、これまでの働き方を検証しないままITを活用した見た目だけのワークスタイル変革に取り組んでいる企業も多いのではないでしょうか。

ワークスタイル変革が必要な企業は時代の変化に対応していない働き方をしているということを認識し、なぜそうなったのかを考えないと一過性の変革に終わってしまいます。

逆にいうと、設立数年のモバイルファースト、クラウドファーストの時代に設立されたベンチャー企業は、意図しているかどうか、制度として成り立っているかどうかは別にして、当たり前のようにどこでも仕事ができる環境になっている企業も多いです。

変革するのではなく生まれながらにして今の時代にあった働き方になっているのです。

例えばフリマアプリで大人気のメルカリは創業わずか3年ちょっとの企業ですが、副業OK、12時~17時をコアタイムとするフレックスタイム制度、フリーアドレス、スタンディングディスク、産休、育休、介護支援の拡充、病気やけがのサポートなど多様な働き方を支援する制度が充実しています。

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メルカリのような企業は現時点ではまだ少数派ですが、今後はこのような会社と従業員の在り方が普通になってくると思います。

今ワークスタイル変革に取り組もうとしている企業は何から変革するのか、どのような姿に変革していくかを十分に議論し、検討することがワークスタイル変革の第一歩になるでしょう。