今年の4月に発売されたiPhoneSEは、これまでのiPhoneと違って4万円台の安価な価格設定でAndroidキラーなんて呼ばれたりしていましたが、実際のところAndroidのシェアを奪っているのか?と素朴な疑問からモバイルOSのマーケットシェアを調べてみることにしました。
そして調査ついでにこの10年間のモバイルOSのシェアや地域別の傾向などを調べてみたところ意外な発見があったりしたので、今回はモバイルOSのマーケットシェアについて書いていきたいと思います。
目次
iPhone SE(第二世代)はAndroidのシェアを奪ったのか?
まず最初にiPhone SE(第二世代)がAndroidのシェアを奪っているかについて調査してみたいと思います。モバイルOSのマーケットシェアの調査にはおなじみのStatCounterのサイトで調べてみました。
iPhone SEが発表されたのが2020年4月なので発売前の2020年1月以降のワールドワイドのモバイルOSのシェアの変化を見てみましょう。
Source: StatCounter Global Stats – OS Market Share
2020年4月に瞬間的にiOSのシェアが上がり、Androidのシェアが下がっているので瞬間風速的な変動はあったものの5月以降は特に大きな変化が無いので、Androidユーザーからシェアを奪うほどのものではなかったことがわかります。
どちらかというと古いiPhoneを長く利用しているユーザを対象にしたApple製品内の買い替えを促進させるための製品だったと思われます。
この10年間のモバイルOSのシェアの推移を見てみた
次にワールドワイドのモバイルOSシェアの10年間の推移を見てみました。2010年7月から2020年6月のデータになります。
Source: StatCounter Global Stats – OS Market Share
2012年頃まではiOS、Androidに加えてシンビアンやブラックベリーなど複数OSが混在していますが、2013年頃からAndroidのシェアが一気に増えていきます。一方でiOSはシェアを落とすことなく、20%前後で安定して推移していきます。
AndroidがiOSのシェアを奪っているのかと思っていましたが、iOSのシェアは安定して推移しているのは意外でした。Androidはシンビアン、ブラックベリー、WindowsなどのiOS以外のOSシェアを一気に奪ってしまっていたんですね。
エリア別のモバイルOSのシェアの推移
次に世界のエリア別にOSのシェアの推移を一気に見ていきます。
アジア
まず最初はアジア。
Source: StatCounter Global Stats – OS Market Share
アジアの特徴としてはAndroidが80%以上のシェアを持っており、圧倒的に強いということです。
2010年頃はシンビアンが強かったものの、2012年から2013年頃にシェアの入れ替えが起こって以降、Androidのシェアが圧倒的に強くなり2017年以降は80%以上を占めています。iOSは10%以下で推移しており、ワールドワイドのシェアと比べると低いシェアとなっています。
アフリカ
次にアフリカ。
Source: StatCounter Global Stats – OS Market Share
アフリカもアジアと似た傾向で、2010年頃はシンビアンが強かったものの、2014年頃にAndoroidがシェアの首位に立つと、そのまま首位を維持し続けることになります。2020年には85%ものシェアを獲得しています。iOSは10%未満でAndroidに大きな差をつけられています。
オセアニア
次はオセアニア。
Source: StatCounter Global Stats – OS Market Share
オセアニアはアジア、アフリカと全然異なるグラフになっています。iOSがAndroidよりシェアが大きい状態が続いてきましたが、2019年10月、2020年5月に首位が入れ替わっており、Androidの勢いが増してきていることがわかります。
ヨーロッパ
次はヨーロッパです。
Source: StatCounter Global Stats – OS Market Share
こちらはワールドワイドのシェアに近い形になっていますが、iOSのシェアが若干大きく直近のシェアは26%を占めています。
北米
次は北米です。
Source: StatCounter Global Stats – OS Market Share
他の地域とは全然違うチャートとなっています。2015年頃から50%前後でAndroidとiOSのシェアが頻繁に入れ替わっていて激戦が繰り広げられています。世界的にはAndroidの圧勝ですが、北米では熾烈な首位争いがまだ行われている状態です。
南米
最後に南米です。
Source: StatCounter Global Stats – OS Market Share
南米はアジアやアフリカに似たチャートとなっており、Androidが圧倒的なシェアを握っています。直近では90%ものシェアを占めています。
日本(おまけ)
おまけで日本のシェアの推移を見てみますと、その特殊性がわかると思います。
Source: StatCounter Global Stats – OS Market Share
世界的にはAndroidのシェアが大きいですが、日本では長年iOSがシェアの首位を占めてきました。
しかし、このチャートを見ていると2019年1月に78%のシェアをピークに徐々にそのシェアが下がってきていることがわかります。直近の2020年6月には61%まで下がってきており、この下落傾向が続くのか、再びシェアを盛り返すのか注視したいですね。
最後に
世界や地域別にシェアの推移を見ていくと2015年頃には北米や日本を除くとAndroidがトップシェアを握っており、Android一強の傾向に拍車がかかってきています。
日本にいるとスマホといえばiPhoneというのが定番となっていますが、日本においてもiPhoneのシェアが少しづつ落ちてきていることがわかりました。
僕の個人的な話をすると、最初はiPhoneを使っていましたがiOSの使いにくさやiPhoneの選択肢の少なさや、コスパの悪さなどから2015年にAndroidに切り替えてしまいましたが、この動きは世界的な流れと同じだったことが意外でした。
Androidは様々なメーカーから多様なモデルが発売されており、選択肢の多さと、5万円以下で安価だけど性能と価格のバランスの良いモデルが多数発売されていることが魅力です。
Androidの懸念としてはAndroidを採用しているメーカーの多くが中国メーカーであることやGoogleの情報収集など、プライバシーに関するものです。ただ、情報を提供することで便利になっているという側面もあるため、一概にAndroidは危険と決めつけることも出来ない点が悩ましいところと言えるでしょう。
マーケットの健全性の観点から見ると、もう少しiOSのシェアがあった方が良いと思うので、AppleとiOSの今後の頑張りにも期待したいところですね。