Windows10、企業導入の最大の障壁はWaaSへの対応だ(1/2)

Windows10がリリースされてから半年が経過しましたが、まだまだWindows10を企業内に本格展開しているケースをほとんど耳にしません。WindowsXPのサポート期限切れでドタバタしたのが2014年4月なので、そこから2年経過したところなので企業のIT担当者はようやく社内に導入する次期OSについて検討を始めたばかりというのが現状ではないでしょうか。

今回は企業でWindows10を導入するにあたり、最大の障壁と思われるWindows as a Service(以下WaaS)について説明したいと思います。

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目次

Waasとは

WaasとはMicrosoftがWindows10から導入した新しい更新プログラムの提供形態です。
従来のWindowsは3〜4年おきにメジャーバージョンアップを行っていましたが、Windows10からは継続的に最新のWindows10が利用できるようになります。

出典:Microsoft

従来もWindows Updateで常に最新だったじゃないかという意見もありますが、従来のWindows Updateで配信されるのはあくまでもバグや脆弱性を修正するための更新プログラムです。

Windows10からは従来のメジャーバージョンアップに相当するような大規模な機能追加も配信され、常に最新機能を備えたWindowsを利用できるようになるという素晴らしい機能となります。

Feature UpgradeとServicing Upgrade

Windows10からは配信されるUpdateモジュールは大きく2種類に分かれています。
それぞれの概要は以下のとおりです。

windowsupgrademodule

ここで重要なのはWindows10のサポート期間はFeature Upgradeを基準に決まること、Servicing Upgrade(更新プログラム)はFeature Upgradeのバージョンに合わせて配信されるという部分です。これが意味することについて説明します。

サービスオプションの種類

MicrosoftはWindows10のUpdateモジュールの配信方法について3つのサービスオプションを用意しています。それぞれの概要は以下のとおりです。

window10servicingoption

LTSBは従来のWindows相当に使える魅力的なサービスオプションですが、EnterpriseEditionのみで使えるオプションです。Enterprise Editionはライセンス価格が高く、企業のようにパソコンを大量導入する場合は、よほどの費用対効果が見込めない限りは採用されないサービスオプションなので、今回は説明を割愛し、CBとCBBの違いについて説明をしていきます。

CB

CBの基本方針はざっくり言うと、「常に一番新しいWindows10を使ってね」というものです。サポートされるのは最新のFeature Upgradeとそれに紐づくServicing Upgradeのみです。

CBではFeature Upgradeの発表タイミングは最短で4ヶ月ということなので、Feature Upgradeのもっとも短いサポート期間が4ヶ月ということになります。常に最新にするという考え方はシンプルですが、最新のWindows10に対応していかないといけないという常に慌ただしいサービスオプションになります。

イメージとしては以下の図のようになります。

出典:ZDnet Japan

CBB

一方企業向けに用意されたCBBの基本方針をざっくり言うと、「2世代前までのFeature Upgradeまではサポートしますので、その間にサポート中のFeature Upgradeに付いてきてね」、というものです。

CBBのFeature UpgradeはCBの4ヶ月後から適用開始になります。さらにCBとは違って2世代前まではサポートされます。CBに比べると新しいFeature Upgradeに対応する時間もありますので、従来と比べると頻度は多くなりますが、CBと比べると比較的対応しやすいサービスオプションとなります。

イメージとしては以下の図のようになります。

出典:ZDnet Japan

さきほどWindows10のサポート期間はFeature Upgradeのバージョンによって決まると書いたのは、上記のような事情からです。またServicing UpgradeはFeature Upgradeに紐づくものなので、Feature Upgradeが更新されるとまServicing Upgradeの対象も最新のFeature Upgradeに変わります。

Microsoftがこのようなサービスオプションを採用したのは、従来のように3〜4年に一度メジャーバージョンアップする方式では時代の変化に追いつけなくなると考えているからでしょう。

世の中の流れを常にキャッチアップし、他のOS、デバイスに対しての優位性を維持するためにも、Microsoft自身も苦渋の決断の末のサービスオプションだったのではないかと勝手に推察しています。

このように従来と比べて変化の激しいWaaSに対して企業のIT担当者はどのように対応していけばいいのでしょうか。この点について次のページで説明していきます。

Windows10、企業導入の最大の障壁はWaaSへの対応だ(2/2) | tomokimatsubara.net

参考ドキュメント