ソニーのスマホ戦略は大混迷。このまま中華スマホに飲み込まれてしまうのか。

ソニーのスマホ戦略が大きな転換期に来ているようです。

ちょうど2年ほど前に、ソニーの平井社長はエレクトロニクス事業の強化にあたって、モバイル事業に注力することを公言しています。モバイル事業とはスマートフォン、タブレット事業です。Xperiaブランドも浸透してきており、市場のシェアもAppleやサムスンには劣るものの、日本勢ではトップの地位に立っていたので、その地位を確立すべく注力しようと考えていたと思います。

が、ここ半年ぐらいソニーのスマホ事業が厳しい局面に追い込まれているようです。

ソニー4年連続の中間最終赤字、中国スマホ事業は縮小へ

ソニー(6758.T: 株価, ニュース, レポート)が31日発表した2014年4─9月期の連結当期純損益は1092億円の赤字だった。スマートフォン(スマホ)の不振によりモバイル事業で1760億円の減損を計上したのが響いた。中間期として4年連続の最終赤字となった。中国市場でのモバイル事業は大幅に縮小する方針。

ソニー、スマホ事業縮小へ 今後は「ゲーム・デバイス」を成長戦略の柱に

同日公表した各事業の2017年度の経営目標からは、スマホに替わり、プレイステーション(PS)4などのゲームやセンサーなどのデバイスを牽引(けんいん)役として復活を目指すソニーの姿が浮かんだ。

ソニー、スマホ事業で1000人を追加削減へ

ソニー<6758.T>がスマートフォン事業で、1000人規模を追加削減する計画があることが28日わかった。複数の関係筋が明らかにした。2014―15年度に、同事業の約30%に当たる計2000人規模を圧縮し、5000人程度まで縮小する。

中国スマホメーカーの台頭などを背景に、今期の同事業は1800億円の減損に追い込まれ、連結最終損益は2000億円以上の赤字を計上する見通し。昨年11月に、トップを十時裕樹氏に交代し、立て直し策を検討していた。

とまあ、中国市場での失敗が大きな躓きとなっているようです。中国という世界最大規模の市場においてXiaomiやHuaweiなどの安価なメーカーが台頭したことで、ソニーの存在感はサッパリ消えてしまいました。

2014q1chainasmartphoneshareimage by phonearena.com

2014のQ1の中国のベンダー別市場シェアのグラフを見ると、ソニーは全く存在感がありません。

ソニーはZシリーズでハイエンドのスマートフォンの地位を少し固めつつあったのですが、安さが好まれる中国市場にハイエンド機で挑んだ結果、全く刃が立たなかったということでしょう。それにしてもスマーフォン事業の約3割を削減ということは、製品開発力にも影響があると思われます。

一方で国内では、イオンと提携して格安スマホを販売するとのニュースもありました。

ソニー、XPERIAを格安スマホに投入へ。イオンから今春発売、通信費込み月3000円を想定

さらには、ソニーの100%子会社であるso-netが格安スマホにも参入しています。

フツーに安い。

ここで扱っている端末はソニー本体に遠慮したのかどうかはわかりませんが、中国市場でのライバル「Huawei」の端末です。もうわけわからなくなってきています。

さらにさらに、ソニーから分社化したVAIO株式会社まで格安スマホ市場に参入するとか。

ソニーから独立した VAIO (バイオ) 社が Android スマートフォン事業参入へ、日本通信と提携し MVNO 向けに端末提供

バイオはソニーから独立したとは言え、その販売網は未だにソニーのものを流用しているわけだし、完全に別会社という訳にはいかない関係なのに、格安スマホ市場でなんと競合することになりそうです。

ソニーの近年の混迷を少し整理すると、

  • 格安スマホが好まれる中国市場に、高機能機種で挑んで失敗
  • 失敗の影響を受け、スマホ事業の人員を30%削減
  • 国内では本体、小会社間で競合関係になっている

という状況です。

xperiaz3

国産スマホだとソニー以外にはシャープ、京セラがありますが、個人的には今ひとつな感じがします。iPhoneに対抗できる高機能スマホはソニーが一番近い位置にいると思っているので、格安スマホに飲み込まれるのではなく、分かる人だけが買うスマホを作れる企業として市場で踏ん張って欲しいものです。