登録セキスぺのオンライン講習を受講して感じたこと

新しく制定された国家資格、情報処理安全確保支援士(通称登録セキスぺ)では講習の受講が必須となっています。知識・技能・倫理の継続的な維持・向上を図るために実施されます。変化の速いセキュリティの世界では資格取得しただけではすぐに陳腐化してしまうため、こういった継続的な講習受講を義務付けられています。

僕が持っている国家資格である中小企業診断士も登録後5年間に診断実務に30日以上従事したり、理論政策研修を5回受講しなくてはならないといったものがあり、資格を取った後もやることが一杯でなかなか大変なものです。

さて、話を戻して4月から始まった登録セキスぺのオンライン講習ですが、まだこれから受講される方も多いと思うので、オンライン講習の種類や登録までの流れ、受講した感想などを記載したいと思います。




目次

オンライン講習の種類

登録セキスぺ 情報処理安全確保支援士 オンライン講習 受講の流れ

画像出典:IPA

オンライン講習の種類はIPAのサイトによるとオンライン講習A、B、Cの3種類あります。それぞれ登録後1年目、2年目、3年目に受講するもので3年目はオンライン講習Cの他に集合講習の受講も必要となります。

登録セキスぺは今年の4月から登録が可能になったので、4月登録の人は昨年秋のセキュリティスペシャリスト試験合格者と、それ以前に情報セキュリティスペシャリスト合格者の人で登録を申し込んだ人(僕もそのうちの一人)が混在しています。そこでIPAでは受講パターンを2つ用意しています。

僕はセキュリティスペシャリスト合格後3年以上経過していたので、上の図の下の方のパターンで今年オンライン講習と集合講習を受講しなくてはならないという過酷な日程です。

オンライン講習の登録の仕方

登録後、IPAから受講の案内のメールが届き、その手順に沿って行います。ちょっと面倒な所もあるので図に整理してみました。

登録セキスぺ 情報処理安全確保支援士 オンライン講習 受講の流れ

申込は個人でも会社でも出来ます。僕の場合は個人で申込をし、領収書を発行してもらった後、会社に申請をし精算をしました。

上の図の⑤の案内メールに領収書が必要な場合はメールしてほしいと記載があったので、メールして領収書を送ってもらいました。ただし領収書の名義は個人で申し込んだ場合個人名になってしまいますのでご注意下さい。

図にするとたいして複雑でないですが、流れが見えない中で順番に何度も手続きを進めるのが煩わしかったので、最初に全体図を提示してもらえると良かったかなと感じました。

オンライン講習の内容

僕は合格後3年以上経過しているので今回はオンライン講習Cからスタートしました。内容の詳細は記載できませんが、目次ベースでいうと次のような内容でした。

  • 第1章 情報セキュリティの最新動向「情報セキュリティ10大脅威」
  • 第2章 情報セキュリティ関連の制度や規格等の動向
  • 第3章 インシデントハンドリング
  • 第4章 セキュア設計、セキュア開発の概説
  • 第5章 倫理・コンプライアンスの概念
  • 第6章 「RFC1087 倫理とインターネット」及び「情報処理学会倫理綱領」概説

全体で6時間ぐらいで終わる想定となっていますが、ボリュームはなかなかのもので結構多いなと感じました。

第1章、3章、4章あたりは実務でも関連があることが多く、サクサクと読み進めることができましたが、普段あまり意識することのない2章、5章、6章は慣れないこともあって読むのがしんどかったです。

また各章の終わりに確認テストがあり、5問中全問正答しないと合格できません。4問ぐらいまでは正答できるのですが、全問正答するのが難しく結構何度も受験する羽目になり意外と難しかったです。

また同じ問題が再度登場する際も回答の並び順が変更されていたりと、何度も受ければ合格できるものでないところも難しいところです。

いずれにしても試験合格後、日常業務で情報セキュリティに接しているものの、陳腐化している知識もあり、知識のアップデートが出来て受講して良かったというのが実感です。

登録セキスぺ制度について思うこと

ということで無事にオンライン講習Cの受講が終わりました。スマホやタブレットでも見れるので隙間時間を活用しながら受講できるので効率良く受講できるのも良かったです。

内容が2万円という受講価格に見合うかどうかというと少々高い気もしますが、定期的にこういった講習を受けれるというのは良い取り組みだと思います。

しかし、今回のオンライン講習の内容とは別に昨年の登録セキスぺの登録申し込みの面倒臭さ、オンライン受講の申込の煩雑さ、集合講習の価格の高さ、などなど資格の登録・維持に向けてのプロセスについては改善の余地が大いにあります。

もともと登録セキスぺの制度が出来たのは、情報セキュリティの専門人材を確保するためです。今の手続きの煩雑さや手数料の高さでは、試験は合格しても登録しない人が多く出て、人材の確保が出来ないのではないかと懸念しています。

僕としては試験の難易度を挙げて入り口を狭くした上で、登録や資格維持の講習のハードルを下げた方が人材確保という意味では有効だと思います。

さらにもう一つ、登録セキスぺであることのメリットを享受できるような体制を作っていってほしいと思います。例えば地域ごとの登録セキスぺの団体を作り定期的な情報交換の場を設けるとか、登録セキスぺならセキュリティのイベント参加が優先されるとか、セキュリティ教育の受講料が割引されるなどなど。

まだまだ出来たばかりの資格制度で、これから育っていく過程にあるのであえて色々と意見を述べてみました。

とはいえ、登録セキスぺの歴史は資格保有者である僕ら自身が作っていかなくてはならないのも事実なので、意見を言うだけでなくこういったブログなどでどんどんと情報発信をしていくなどして登録セキスぺとして責務を果たしていきたいですね。

参考URL:国家資格「情報処理安全確保支援士」講習のご案内