MicrosoftはSurfaceで何がしたかったのか

さて、日本でも7月にリリースされたMicrosoftのタブレットPC、Surface Pro3はかなり人気があるようです。そこで今日はMicrosoftがSurfaceで何をしたかったのか?を独断で考察してみました。

まず最初にSurfaceについて簡単におさらい。


目次

Surfaceとは

これまでソフトウェアの提供を本業としていたMicrosoftが満を持して作成したタブレット端末です。Surfaceと一口にいっても、WindowsRTを搭載したSurfaceとWindows8,8.1を搭載したSurfaceProシリーズの2種類があります。

Surfaceのモデル

・Surface RT(後に単なるSurfaceに名称変更される) 2012年10月発売(日本では翌年3月発売)
・Surface 2 2013年10月発売
・Surface PRO 2013年2月発売(日本では同年6月発売)
・Surface PRO2 2013年10月発売
・Surface PRO3 2014年7月発売

このようにWindows8発表と同時に初代が発表され、Windows8.1と同時に2代目が発表されるといった、OSのバージョンアップに合わせた発表や、2代目発表からわずか8カ月後にSurface PRO3が発表されるといった非常に短期間で新モデルを投入するなど、市場への投入タイミングも話題になりました。

Microsoft_Surface_(black)

Photo by Wikipedia

ここでSurface発売当時の周囲の環境を振り返ってみます。
2012年前後はスマホ、タブレットともに普及し、特にタブレットのビジネス利用が急激に増え始めた時期です。iOS、Androidのスマートデバイス向けOSが躍進し、多くの人に支持されていました。一方、MicrosoftはPC市場では相変わらず圧倒的な地位を維持していましたが、スマートデバイス市場では新興勢力の後塵を拝した状態が続き、相当な焦りがあったものと思われます。

そんな時代背景を踏まえて、MicrosoftがSurfaceを通じてやりたかったことは、
次のようなことではないかと考えました。

初代&2代目Surfaceでやりたかったこと

・出遅れたスマートデバイス市場でシェアを奪う。

目的達成の実施策
・タッチ対応した最新OSを用意。
・自社製ハードウェアで最新OSとの最適化を図る。
・Windowsストアでアプリ市場を構築。

こんな所だったのではないかと考えます。

そして、Surface、Surface 2、Surface PRO、Surface PRO2ではiPadを想定ライバルとして広告戦略を進めていましたが、iPadに勝てないと判断した段階で方針を変え、Surface PRO3を出します。
Surface PRO3はSurface PRO2までのモデルとは実現しようとしていることが異なると考えます。

Surface Pro3でやりたかったこと
タブレットとウルトラブックの中間のニッチな市場でトップシェアを奪う。

目的達成の実施策
・大きくなった画面サイズでPC並の視認性を提供。
・ハイパワーなCPUを搭載し、PC並の処理速度を提供。
・薄く軽くなったボディでタブレット並の持ち運びしやすさの提供。

ということで、時代の変化や顧客のリアクションを見ながらその目的を変えてきたSurface。

これまで協業してきたハードウェアベンダーを敵に回すことになるというリスクを冒してまで、なぜ自社ハードウェアに拘ったかはよく分かりませんが、Microsoftがようやく手に入れたハードが今後どのような進化を目指すか注目したい所です。

Windowsはマウス、キーボードでの操作を元に作られたOSなので、Surfaceのような安っぽいキーボードを付けるのであれば、13インチ程度のクラムシェル型のウルトラブックを作って欲しいな、と思います。

WindowsRTで失敗したのでもう作らないとは思いますが、MacOSに対するiOSのような、Windowsに対するタッチUI用のOSを再構築したら、面白いものが出来上がるんだろうな、と期待しています。