LINE社長が考える変化に対応する4つのポイント

LINEの森川社長(2015年3月で退任予定)が2014年7月に行われたIT Japan2014というイベントで講演を行いました。

IT Japan 2014]「ユーザー価値を損ねるので、事業計画は作らない」LINE森川社長

変化の速いインターネット業界にあたって、天気のように変わっていく組織になるよう心がけていると話をしていました。変化に対応する組織になるポイントとして4点挙げられていたのですが、とても興味深かったのでメモがてら書いておきます。

LINEの社長が考える、変化に対応する為に心がけている4つのポイント

  1. 事業計画を作らない
  2. 海外進出時にはオフィスを構えない
  3. サービスの開発はデザインを軸に進める
  4. 仕事でLINEを使う。

この4つのポイントで2や4は納得出来るものでしたが、1と3は一般的に言われるセオリーを無視したやり方で、とても驚きました。

LINEには事業計画が存在しない。会計上の計画・予算は存在するが、あくまで資金繰りなど財務的なリスク管理のためだけに使う。この計画を事業部門と情報共有したり、予算管理責任を持たせたりはしないという。

「売上高などの計画を立てると、それを達成すること自体が目的化してしまう。計画を達成するために中途半端なサービスをリリースするなどしてユーザーにとっての価値を損ねる。事業部門の“現場”はあくまで価値を提供することに専念するべきだ」(森川社長)

事業計画は一般的にビジネスをどの領域で、何をやるか、市場はどういう状況か、強豪はどこか、リスク、資金計画等を考慮してまとめていくものですが、LINEはこの中でもリスク管理、資金計画は立てているものの、それ以外の事は考慮しない方が良いと考えているようです。

計画の無いところではマネジメントは出来ないと思うので、実際の所は一般的な企業における1年、3年といった短期、中期の計画ではなく、恐らく1ヶ月や3ヶ月という超短期間で計画を立てては見直して、を繰り返しているのでは無いかと想定します。PDCAのサイクルが普通の会社より短くすることが変化への対応のポイントです。

LINEimagephoto

もう一つのデザイン志向の件については、次の様に述べています。

「詳細な市場調査や、システム仕様書から入るのでは時間がかかる。それよりも『こんな画面デザインのサービスを作りたい』というところから入った方が時間を短縮できる」(森川社長)。

デザイナーを中心にサービスのイメージを作り、複雑な機能を作り込むのではなく、シンプルなサービスを開発してすぐにリリースする。その後でユーザーの反応を見ながら、機能を改善したり追加していくというわけだ。

こちらも事業計画を立てない、というのと同じ考えの元でサービスを作るにあたって計画よりもまずやってみて、上手く行かなかったら改善点を考えようよ、という意識があるようです。

ソフトバンクの孫社長が7割出来ると思ったら始める、と言っているのは有名な話ですが、それよりも確率が低くても良いサービスが思いついたら色々と機能を付加せずにまずはシンプルにやってみよう、という考えです。

森川社長の講演をザックリとまとめると、インターネット業界の様に変化の速い業界では、

  • 中長期的な計画はあまり意味がなく、PDCAのサイクルを可能な限り短く回すこと
  • サービスを思いついたらシンプルにすぐにやってみる

ということが重要であることがわかりました。

とても興味深いです。最近読んだGoogleの本でも似たような事が書かれていたので、成長のスピードが速い組織は経営層のこのような意識が組織内に浸透しているのでしょう。