僕はもうすぐ40歳の中年ですが、診断士界隈ではまだまだ若手の部類に入るだろうということで先日開催された第2回若手中小企業診断士シンポジウムに参加しました。懇親会で色んな人とお話できたらいいな、なんて軽い気持ちで参加したのですが、思いのほか基調講演やセッションが面白くて素晴らしいイベントでした。実行委員の方々の献身的な準備が素晴らしいイベントを支えていたと思います。

さて、今回はこの若手中小企業診断士シンポジウムのセッションの中でGoogleが行っているイノベーション東北というマッチングサイトの活動が興味深かったので記事を書いてみます。

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イノベーション東北とは

2013年5月から始まったGoogleが主催する東北地方の事業者(企業・団体)と支援者(サポーター)を結びつけるマッチングプラットフォームです。ざっくり言うと東北地域におけるボランティアのマッチングサイトと呼べるものです。

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image by イノベーション東北

簡単な流れを説明すると、

  1. 事業者がやりたいことをチャレンジとして登録
  2. 参加したいサポーターが応募
  3. 事業者とサポーターが面談し、参加サポーターを決定
  4. チャレンジスタート!
  5. チャレンジがスタート時にチャレンジレポートを登録
  6. チャレンジが達成されたらサポーターレビューを登録

こんな流れで進んでいきます。事業者とサポーターにはGoogleのビジネス用オフィススィートであるGoogle Apps for Workが1年間無償提供されるなどの支援があります。遠隔地から支援する際はハングアウト等のコミュニケーションツールが有効だそうです。

事例紹介

今回のセッションは3つの事例を紹介されていました。具体的な内容は割愛しますが、事業者とサポーターの想いが上手くフィットすると大きな事を達成できるんだな、と実感。

さらに中小企業診断士の食品業界研究会の方からの発表で実際にイノベーション東北のプロジェクトで東北の企業を支援内容の報告もありました。支援自体は一般的な経営診断のプロセスを経たものでしたが、WEBベースでのコミュニケーションに戸惑ったことやニーズの把握に苦労したことなど、これから支援をしたいと思っている後輩診断士達にも大変参考になる内容でした。

ボランティアのマッチングサイトの可能性と難しさ

今回のいくつかの成功事例や取り組みを聞いてみると、何とか復興したいと願う事業者と、自分の持つスキルを活かして何とか支援したいというサポーターの両者の想いがマッチした時に大きな成果をもたらすものだと感じました。

Googleの松岡氏が言っていた言葉が印象的でした。

「支援は義務感を感じ始めるとつらくなって、続けられなくなる。だから楽しく続けられるやり方で支援していきたい」、とおっしゃっていたんですね。これはボランティアだけでなく仕事や人付き合いにも共通すること。被災地の支援というと重たい雰囲気を感じがちですが、地元の人と一緒に楽しむことが一番大切とおっしゃるこの言葉、とても良い言葉ですよね。持続可能な支援のキーワードですよね。

このように両者の想いがマッチし、無理なく継続できるケースがあるということがボランティアのマッチングサイトの大きな可能性だと感じました。

inovationtohokusuporter

image by イノベーション東北

一方で難しさもあるだろうなと感じました。これまでイノベーション東北ではネガティブな失敗事例は聞こえてきませんが、このようなボランティアマッチングサイトはある程度のリスクも起きることは考えられます。例えば案件と人材のミスマッチが起きてしまうことや、プロジェクトが空中分解してしまうことなどが想定されます。

案件と人材のミスマッチは、イノベーション東北では事前に事業者とサポーターとのお見合いがあるので、ここで案件のミスマッチをどれだけ取り除けるか、が重要です。ここでミスマッチを防ぐためにも、事業者側も案件の目的やサポーターに期待することを明確にすることが大切ですよね。

プロジェクトについては複数の人が参加する場合には意見のすり合わせや、脱落者を出さないなどのプロジェクト運営も重要となってきますので、プロジェクト管理経験の有る人がいる、いないも重要なポイントと感じました。サポーターとお見合いの際に規模の大小はともかく、プロジェクト管理経験者を入れておけるかどうかも重要です。

このように難しさもありますが、イノベーション東北では持続可能な支援のモデルケースが実現されていることで、マッチングサイトの可能性が広がりつつあると感じたセッションでした。

inovationtohokulogo
PS.
「Googleの72時間」は震災直後の取り組みを詳細に描いたドキュメンタリーです。災害直後の支援というと、どうしても自衛隊のような重機を活用した支援が頭に浮かびますが、この本を読んでITでこんな形の支援が出来るんだと驚きました。Googleが災害発生直後から混乱しつつも迅速かつ自主的な活動が広がっていく様をリアルに描いており、Googleファンならずとも一読の価値があります。