ASUSがあちこちで本気のケンカをしかけてきた

5月31日に開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2016で、地元台湾の雄、ASUSがここぞとばかりに新製品を発表してきました。

ASUSといえば僕もX205TAとT300chiを愛用していて、”妥協しなきゃいけない所もあるけれど、致命的なものでなくて、価格は競合よりリーズナブルで、見た目も結構イケてる”、そんなところが好きなところです。ただ、高級ブランドというイメージからはほど遠く、大衆向けの製品を作っている、そんなイメージの企業だと思っていました。

そんなASUSが今回はAppleやMicrosoft、そしてHuaweiといった競合相手にガチンコの真っ向勝負を挑んできました。

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目次

ZenBook3

これまでのZenBookはAppleのMacBookAirの対抗製品という位置づけでアルミ製のスピンドル加工されたボディが特徴のPCでしたが、今回は先日モデルチェンジして強化されたMacbookに対抗して作られたモデルとなっています。

従来のZenBookは見た目こそMacBookAir風でしたが、バッテリーの寿命や性能面で若干劣っており、妥協を強いられる側面がありましたが、今回のZenBook3はそのようなネガな部分はほとんどなくなっています。

MacBookより軽く、薄くなっており、CPUもCoreMのMacbookに対してCoreiシリーズを搭載するなど、一歩も引かないガチンコ勝負となりそうです。

唯一気になる点としてはディスプレイの解像度が少し劣ることや、バッテリー駆動時間が劣ることなどが挙げられますが、実用上は全く問題ないレベルになっています。またWindows Helloに対応した指紋認証が追加されているのもZenBook3の強みです。さてさて、この勝負どうなるのでしょうか。

Transformer 3 Pro

さて、ZenBook3がMacbook対抗機種としたら、Transformer 3 ProはMicrosoftのSurface Pro4と真っ向勝負するモデルになります。ここまで露骨に似せてくるとパクリと呼ぶのもはばかられますが、要はASUSのSurfaceです。性能面もSurface Pro4を追随しており、そん色ないレベルに仕上がっています。

価格はSurface Pro4より若干抑えられるようなので、ZenBook3は価格面も性能面も妥協しないハイエンドを狙った機種でしたが、Transformer 3 ProはSurfaceみたいなモデルでもう少し安いのが欲しいといったユーザーを狙っているように見えます。

決してチープなモデルではないので、ASUSにも十分勝機があるような気がします。

Zenfone 3 Deluxe

Zenfoneシリーズはリーズナブルだけど、性能も使い勝手も良いスマートフォンという印象でしたが、今回発表された3モデルのうち、Zenfone3 Deluxeは競合のハイエンド機種とガチンコ勝負できるスペックとなっています。

最大6GBのRAMを搭載し、フルメタルボディ、ソニー製のセンサーを搭載した高機能カメラを搭載するなど、iPhone 6s PlusやGalaxy S7などと真っ向勝負します。

これまでのプラスチック製の筐体がZenfoneシリーズらしさだったと思っていましたが、随分と大人になってしまったなぁという感じです。戦う場所が変わってきたということなのでしょう。

Zenfone 3 Ultra

こちらは恐らくHuaweiのP8 max対抗機種と思われます。6.8インチの高機能スマートフォンということで、サイズ的にも性能的にもP8maxとがっぷり4つのモデルです。

また名前のUltraからもわかるとおり、根強い人気を持っているSONYのXperia Z Ultraからの買い替え需要も狙っているのではないかと思います。

最近ではスマートフォンの大画面化が進んだことで7インチ以下のタブレットってすっかり少なくなってしまっていましたが、その隙間を狙ったこの6.8インチというサイズは結構いいんですよね。

P8maxは実際に手に取ると想像するほど大きすぎることがなく、ギリギリポケットにも入るし、当然画面は大きくて見やすいし、なかなかいいサイズ感です。

この大画面スマホの勝負はどうなるのでしょうか。

ASUSのケンカは目指す市場を変えるため?

ASUSのこれまでの戦略を見ると、高品質のモデルでありながら、どこかを妥協することで価格を抑えて、価格勝負に出ている部分がありました。

大量生産できるメーカーだからこそ出来る戦略ともいえるのですが、今回の新モデルを見ていると、性能面でも十分勝負できるレベルのものが作れるようになったんだな、と感じています。

もちろんスペックだけではありませんので、出来る限り実機に触れていきたいと思っていますが、今回のケンカの吹っ掛けっぷりを見ていると、もしかしたらASUSの戦略が少し変わってきたのかな、と思っています。

従来の価格勝負のメーカーから、より利益を出せる高価格帯のモデルを買ってもらえる為のブランド作りに入り始めているように感じました。従来のリーズナブルなモデルを求める市場から、高くても高性能なモデルを求める市場にシフトしようとしているのではないでしょうか。

そうすると僕のみたいに高品質でリーズナブルなモデルを提供してくれるASUSに期待しているファンからするとちょっと残念な話ですけどね。

さてさて、ASUSのふっかけたケンカがどうのような展開を見せるのか、様子を見ていきましょう。